飲酒運転のトラックに追突されて、幼いお嬢さん二人を亡くされた後、この悲劇を繰り返すまいと様々な活動をしていらっしゃる井上さんご夫妻を紹介します。(記憶を頼りに書いていますので、一部不正確な記述があるかもしれません。)
◆事故のあらまし 99年11月、家族旅行の帰りの東名高速で、飲酒運転のトラックが追突。 燃え盛る車の運転席から臨月間近の郁美さんが、窓を開けて自力で脱出。後部座席の二人の娘さんは既に助けることが出来ず、かろうじて助手席の保孝さんだけが助かることが出来た状態。 この事故の2,3週間前にわたしは産休に入る直前の郁美さんとお会いしています。 産休でようやく二人の娘とゆっくりと過せると話していらしたのを今でもよーく覚えています。 3歳と1歳の娘さんのお葬式には、全身ヤケドの保孝さんは参列できず、郁美さんが参列者の前に立たれ、上の娘さんがクリスマス会で歌うはずだった歌を歌われたと聞いています。 ◆事故の取り扱い 事故を起こしたのは、高知から東京へ向かう長距離トラックの飲酒運転でした。 この運転手は以前から飲酒運転を繰り返していたようです。 しかしながら、刑法上、彼に問えるのは業務上過失致死罪のみで、最高の量刑は懲役5年。結局、懲役4年の判決で結審。 ◆井上さんの活動 ウマが交通機関だった頃から見直しがなされていない刑法を見直すべく、人を殺す凶器になりうる車の事故の厳罰化を求めて、同じような事故の被害者の家族と一緒に署名活動を始められました。 結果、37万を越える署名が集まり、世論に押される形で「危険運転致死傷罪」(最高量刑は懲役15年)が刑法に追加されることになりました。 その後、悲惨な事故を防ぐべく、免許を取る前の高校生達への講演や、「生命のメッセージ展」と題し、不条理に命を奪われた被害者の等身大の人型と靴を紹介し、いのちの重さを訴える活動を続けていらっしゃいます。 ◆最近の取り組み 飲酒運転の上で人をはね、厳罰を恐れて現場を逃走し、アルコール濃度が薄まってから出頭した結果、より悪質なのにもかかわらず刑が軽くなってしまうといった飲酒・ひき逃げ事件が急増しているそうです。 そこで、飲酒・ひき逃げ事犯の厳罰化を求める署名活動を始められました。 保孝さんはいまだにヤケドの後遺症から、仕事の合間に植皮の手術を受けておられます。 郁美さんは仕事を続けながら、その後三人のお子さんを出産、どうしたらあんなに色々なことができてしまうんだろうと思える超人的な活動をしていらっしゃいます。 ◆わたしから かわいい盛りの3歳と1歳のお嬢ちゃんを一瞬にして目の前で奪われてしまうという、想像を絶する経験から生じた負のエネルギーをこういう形で昇華させつづけていくご夫妻は、わたしの価値観に衝撃的なインパクトをもたらしてくれました。 ご夫妻もおっしゃっておられるように、犯罪の厳罰化がハンドルを握る人への警鐘となり、悲惨な事故で悲しむ人がなくなればと思います。 ロサンゼルスに住み始めて運転をするようになり、車の便利さに慣れてきたところですが、車が凶器に変わるということも忘れずにいようと思います。 上記の署名用紙はメールでお送りすることが出来ます。もし関心をもたれた方がいらっしゃいましたらご連絡ください。
by minabako
| 2005-09-30 01:58
| 考える
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